TCFD提言に基づく情報開示

  • UNISOLグループは、2022年11月にTCFD提言への賛同の表明を行いました。環境問題への取組みは企業の存続、成長に不可欠な要因であるという認識のもと、気候変動への対応につきましてもTCFDの枠組みに基づく情報開示を進めてまいります。
  • TCFD提言に基づく情報開示
2023年に実施いたしましたTCFD提言に基づく情報開示においては、フルサト・マルカホールディングス株式会社、および国内連結子会社4社(株式会社マルカ、株式会社ジーネット、岐阜商事株式会社、フルサト工業株式会社)を対象としておりましたが、本開示(2024年)においては、対象範囲を他のグループ企業にも拡大させております。詳細な対象範囲につきましては、各項目をご参照ください。
また、開示内容につきましても拡充を行い、新たに重要なリスクと機会の特定プロセスや気候関連リスク・機会の管理指標、および目標CO2排出総量を指標として削減目標を設定)を開示しております。

ガバナンス

UNISOLグループは、2022年2月に代表取締役社長のもとに「サステナビリティ委員会(原則年2回開催)」(以下、「委員会」という。)を設置し、サステナビリティを巡る課題への対応の協議・決定を開始しました。当委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員には委員長が指名する取締役、執行役員、各事業会社取締役などにより構成しています。気候変動対応に関わる重要な議案は年1回以上取締役会に報告を行い、監督を受けています。 また、委員会の運営を補助することを目的に「サステナビリティ委員会事務局」 (以下、「事務局」という。)を設置しています。当事務局では、サステナビリティについての方針やリスクと機会の特定と取り組み施策などの策定、各事業会社・各部門との戦略の整合性などを審議・検討し、委員会に上程を行い、指示を受けています。 目標・計画の策定、重点取り組み課題の選定、計画に対する進捗を適宜確認し、リスクと機会及び財務への影響をステークホルダーに開示してまいります。

サステナビリティ委員会 体制図

取締役会
  • 報告
  • 監督
  • サステナビリティ委員会
  • 委員長代表取締役社長
    委員委員長が指名する 取締役、執行役員、各事業会社取締役など
  • 上程
  • 指示
  • サステナビリティ委員会事務局
  • 事務局メンバー
    ホールディングス及びグループ各社 営業・購買・生産・コーポレート部門 管理者を中心に構成

戦略

「シナリオ分析」
UNISOLグループでは、2100年における世界の気温上昇が1.5℃上昇、2℃上昇、4℃上昇の世界観を想定し、2030年、および2050年における シナリオ分析を実施しました。 シナリオ分析の対象範囲は、フルサト・マルカホールディングス株式会社、および国内連結子会社(2023年12月末時点)としております。
以下に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオなどを参照して、重要度の評価及び財務影響の分析を実施しています。
IEA 「World Energy Outlook  2022」 (2022年)  NZE2050 /  APS / STEPS
IPCC 「AR6」   SSP1-1.9(1.5℃シナリオ) / SSP1-2.6(2℃シナリオ) / SSP5-8.5(4℃シナリオ)
「重要なリスクと機会の特定、対応策検討・実行のプロセス」
リスクと機会の洗い出し
  • ■気候変動によるリスク、機会につき、当社に関連する項目の洗い出しを行いました。
リスクと機会の特定
  • ■把握したリスク、機会について、複数の評価軸で重要度を評価し、当社事業にとって、より重要度が高いと考えられるリスク10項目、機会4項目を特定しました。
事業への影響評価
  • ■特定されたリスク、機会が2030年に当社事業に及ぼす財務影響を試算し、営業利益に対する影響の大きさをそれぞれ「大」「中」「小」の3段階で評価しました。
  • ■財務影響の算定には1.5℃上昇、2℃上昇、4℃上昇のシナリオを使用しました。
対応策の検討
  • ■特定したリスクによる財務影響を最小化、機会による財務影響を最大化するため、対応策の検討を行い、5つの方針を設定しました。
対応策の実行
  • ■5つの方針に沿った対応策実施に向け、事業戦略への反映を進めていきます。
  • ■リスクによる財務影響の最小化、機会による財務影響の最大化にとどまらず、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるために取り組みを継続していきます。
「リスクと機会」
特に影響が大きく、実際に起きる可能性も高いと想定されるリスク10項目、機会4項目を開示します。
種類リスク、機会の発生する要因具体的内容2030年の財務影響
1.5℃ 2℃4℃
移行リスク政策及び規制温室効果ガス排出の価格付け進行炭素税等のGHG排出量の価格付けが進むことにより、仕入コストや電力等のエネルギーコストが増加する
情報開示義務の拡大情報開示すべき情報範囲の拡大に伴う、社内管理体制の構築及びデータインフラ整備等により、対応コストが増加する
技術既存製品/サービスの低炭素オプションへの置換自社製品の環境性能やそれに関する保有技術が他社と比べて劣後することで競争力が落ち、売上が減少する
市場消費者行動の変化環境性能の面で劣後する商品・サービスの売上が減少する
EVへの切替の進展により、内燃機関関連の金属加工部品と機械 工具の需要が減少し、売上が減少する
企業としての環境対応が不十分とみなされると、販売先から選別され、事業全体の売上が減少する
評判当該セクターへの批判 ステークホルダーの不安増大気候変動対応の遅れや、投資家との環境対応に関する情報の非対称性により企業価値が低下する
物理的リスク急性台風や洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇台風や洪水などによる自社及びサプライヤーの被災が増加し、復旧コストの増加、機会損失による売上の減少が生じる
慢性平均気温の上昇空調稼働に必要な電力量の増加により、エネルギーコストが増加する
夏季に製造に携わる従業員を中心として、熱中症等の健康リスクが増大し、生産性が低下したり、対策としての設備投資コストが増加したりする
機会製品及びサービス低炭素商品/サービスの需要拡大 消費者の好みの変化エネルギー使用時の低・脱炭素化や低コスト化ニーズの高まりに伴い、環境配慮商品の需要が増加し、売上が増加する
EVへの切替の進展に伴い、関連市場が成長し、売上が増加する
降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動、異常気象の重大性と頻度の上昇に対する対応・対策自然災害の増加や激甚化に対するレジリエンス向上に貢献する
防災・減災・復旧・復興関連製商品の売上が増加する
平均気温の上昇など厳しい条件下での安定稼働に貢献する省力化関連商品の売上が増加する
「対応策」
特定したリスク、機会に対する中長期での対応策につきましては、継続的な実施と効果評価を行い、事業活動のレジリエンスを高めてまいります。
対応策具体的内容
サプライチェーンにおける協働を通じた、商材や梱包資材の脱炭素化
  • 省エネ等、顧客の需要をとらえた環境性能の優れた製商品・サービスの開発・探索と提供
  • EV車の普及を支える製商品の開発・探索と提供
気候変動を踏まえた顧客の自動化・省力化、レジリエンス向上の推進
  • 自動化・省力化関連商品の提案強化
  • 防災・減災関連製商品の探索
  • 復旧・復興関連製商品の迅速な提供体制の整備
事業活動の脱炭素化の推進
  • 主要事業所、工場におけるエネルギー使用量削減(省エネ設備導入・ペーパーレス・社有車のエコカーへの切替等)
  • 再生可能エネルギーの使用推進
事業活動のレジリエンス向上
  • 事業継続計画(BCP)の強化等、気候変動による物理的リスクや従業員の健康リスクの低減
適切な情報開示とステークホルダーとのコミュニケーション強化
  • TCFD開示や年次の環境データ、上記の対応策の実施状況等を適切に開示

リスク管理

特定された気候変動関連リスクについては、サステナビリティ委員会を中心にリスクの回避、軽減、コントロール、機会への早期着手に関する方針の策定や対応策の立案などを実施し、取締役会への報告を行い、監督を受け、全社を通じたリスクマネジメントを行っています。また、対応策の実施状況、およびその効果についてモニタリングを実施しています。

当社グループのリスク全般については、「リスク管理委員会(原則年2回開催)」を設置し、経営財務への影響を考慮し、リスクの識別・評価を行い、重要リスクの特定・見直しを行っております。気候変動に関わる重要なリスクにつきましても、年1回以上リスク管理委員会へ報告を行い、全社リスクとの連携を図っています。

指標と目標

UNISOLグループでは2022年より事業活動におけるCO2排出量(以下、「 Scope1、2 」という。)、および原材料の調達や販売した製品の使用なども含んだサプライチェーンにおけるCO2排出量(以下、「 Scope3 」という。)の把握に取り組み始めました。

Scope1、2に関しての実績値及び目標値は以下の通りです(※1・2・3)。
基準年
2022年
(実績)
2023年
(実績)
2026年
(目標)
2030年
(目標)
2050年
(目標)
Scope1+28,747約8,6006,8935,0380
 Scope15,253約5,200
 Scope23,494約3,400
  • 目標値
  • 2026年目標  Scope1、2 21.2%削減(2022年比)
  • 2030年目標  Scope1、2 42.4%削減(2022年比)
  • 2050年目標  Scope1、2 実質ゼロ
  • (※1)フルサト・マルカホールディングス株式会社、及び海外を含む連結子会社(2023年12月時点)を対象としております。
  • (※2)実績値及び目標値につきましては、今後の算定の精緻化や連結範囲の変更等が生じた場合に、適宜修正してまいります。
  • (※3)2023年実績値につきましては、確定値を算定後、改めて開示いたします。
Scope3の実績、および2030年CO2排出量の削減目標につきましても、今後開示を進めてまいります。具体的には環境性能の優れた製商品・サービスの開発・探索と提供等により、削減に貢献してまいります。